インタビュー
この5年、日本各地のアーティスト・イン・レジデンスに参加し、精力的に活動している宙宙さん。自然や地域がそこで暮らす人にとってどんな意味を持つかを探る地理学的アプローチで、サイトスペシフィックな作品を制作している。 アメリカの現代アーティスト…
「黄金町バザール2021」のツアーに参加して、常木理早さんを知った。車のヘッドライトを6つ重ねた作品の前に立ったとき、全身に突き刺さるような光を浴びてどこか痛みを感じた。「ヘッドライトって車に乗る人の安全を守るためのものですけど、暴力性をあわ…
今春、中目黒にアートスペース「ヘルツアートラボ」が誕生した。地域とアーティストを繋ぐアートの実験場と称し、展覧会だけではなく未経験者も楽しめそうな作家による講座(有料)や対話型鑑賞(無料)が用意されている。偶然手にしたパンフレットから「ア…
寺院を舞台に宗派の教えを盛りこんだ演劇を上演する「テラ」を知ったとき、これは面白いと思った。三好十郎の「詩劇 水仙と木魚――一少女の歌える――」を原案に吉岡実、富岡多恵子らの複数の詩を使った輪廻転生のひとり芝居。寺の息子のパーカッショニストが主…
コロナ禍で揺れた2020年の年末近くに、ビジュアルアーティスト/画家のジョージ・スタマタキスさんの個展「現象の色」がすみだ北斎美術館(東京・墨田区)で開催された。 ギリシャ・クレタ島生まれのジョージさん。地球温暖化や海洋汚染の影響で100年後には…
今回、古山結さんからのご紹介で登場していただくのは杉山佳さん。昨年12月上旬に東京藝大の院生による博士審査展が開かれていて、杉山さんの作品や論文発表もそこで見られたのだが、残念ながらタイミングがあわなかった。 その博士修了作品「der-rahmen Ⅷ …
今回は板垣夏樹さんのご紹介で、東京藝術大学大学院の博士後期課程に在籍する日本画家の古山結さんを訪ねた。10月に原宿で開催された「青参道アートフェア」の一軒家のギャラリーを使ったグループ展にうかがったとき、彼女が「名刺です」と渡してくれたのは…
今回は磯﨑菜那さんの東京藝大の同級生で、昨年大学院を卒業して日本画家として活動している板垣夏樹さんのご自宅を訪ねた。3代つづく江戸っ子だが、親元を離れて自活している。8月にGINZA SIXのギャラリーでみた作品は、写実的に描かれたお犬様と装飾的な山…
絵本作家・画家の高橋祐次さんからのご紹介で、今回は磯﨑菜那さんがご家族と暮らす自宅を訪ねた。玄関入ってすぐの壁に飾られていたのは、植物の手入れをするお母さんが描かれた縦長の絵。階段をあがっていく途中には、今は亡きペットの額入り写真が大小い…
今回は画家・倉田明佳さんのご紹介で、この夏予定されている個展やグループ展に向けて、作品づくりにいそしむ高橋祐次さんのご自宅を訪ねた。室内は若い男性の一人暮らしらしく雑然とした雰囲気だが、作業されている部屋に入って思わず「わぁ」と声が弾んだ…
東京藝大の取手キャンパスの正門をくぐり緑豊かな敷地内を歩いて10分ほど、美術学部の専門教育棟が見えてくる。平日は校舎前までバスが通っているが、土日は藝大前のルートに変わるのだ。日本画家・佐久間友香さんのご紹介で、今春から大学の助手を務めてい…
現代美術家・陶芸家の村上仁美さんのご紹介で登場していただくのは、日本画家の佐久間友香さん。服部まゆみさんの「シメール」や長野まゆみさんの「その花の名を知らず」など小説の装画・扉絵も手がけ、海外の現代アートマガジンでも取りあげられる若手の新…
2月中旬に渋谷・Bunkamuraギャラリーで開催されたグループ展「アリス幻想奇譚2019-アリスとファンタジーの普遍的概念」に村上仁美さんを訪ねた。ルイス・キャロルの世界的名作「不思議の国のアリス」の少女アリスを題材にしたアーティスト30人による作品展…
耐えることを教えてくれるのが芸術 自分ケアの方法を見つける 夫の死から1年以上が経過し、生きのびるという行為にどうにかなれてきたといえ、やはり今も生きるだけで精一杯だ。日常の忙しさに流されそうなときには、村上さんの「温かい土」のことを考える…
運命的にであった美術作品にこころを救われて 現代美術家・陶芸家の村上仁美さんの作品を知ったのはTwitterがきっかけだった。Aさんは最近ようやく出向くことができた個展会場で「温かい土」という名の作品と出あう。女性をモチーフにしたものが多いなかで…
夫の死のショックをレーヴィの言葉で耐えた日々 30代半ばの文学研究者のAさんは、1年前に夫を突然死で亡くした。20代で結婚して以来、子どもはいなかったが仕事に理解のある夫とは助けあって仲良く暮らしていただけに、前ぶれもなくおそった悲劇ははかりし…