人と藝術と魂と

アーティストをたずねて ほか

インタビュー13:世界の至るところにある芸術性をアートで可視化する アーティスト・ 宙宙さんインタビュー

この5年、日本各地のアーティスト・イン・レジデンスに参加し、精力的に活動している宙宙さん。自然や地域がそこで暮らす人にとってどんな意味を持つかを探る地理学的アプローチで、サイトスペシフィックな作品を制作している。 アメリカの現代アーティスト…

インタビュー12:横浜・黄金町AIRで飛翔の時を待ちながら アーティスト・常木理早さんインタビュー

「黄金町バザール2021」のツアーに参加して、常木理早さんを知った。車のヘッドライトを6つ重ねた作品の前に立ったとき、全身に突き刺さるような光を浴びてどこか痛みを感じた。「ヘッドライトって車に乗る人の安全を守るためのものですけど、暴力性をあわ…

インタビュー11:自他との対話から予定調和を超えるものを見つけたい 画家・小林大悟さんインタビュー

今春、中目黒にアートスペース「ヘルツアートラボ」が誕生した。地域とアーティストを繋ぐアートの実験場と称し、展覧会だけではなく未経験者も楽しめそうな作家による講座(有料)や対話型鑑賞(無料)が用意されている。偶然手にしたパンフレットから「ア…

インタビュー10:自らの死生観に向きあう舞台「テラ」演出家・坂田ゆかりさんインタビュー

寺院を舞台に宗派の教えを盛りこんだ演劇を上演する「テラ」を知ったとき、これは面白いと思った。三好十郎の「詩劇 水仙と木魚――一少女の歌える――」を原案に吉岡実、富岡多恵子らの複数の詩を使った輪廻転生のひとり芝居。寺の息子のパーカッショニストが主…

インタビュー09:藍染で提示する100年後の海の青 ジョージ・スタマタキスさん インタビュー

コロナ禍で揺れた2020年の年末近くに、ビジュアルアーティスト/画家のジョージ・スタマタキスさんの個展「現象の色」がすみだ北斎美術館(東京・墨田区)で開催された。 ギリシャ・クレタ島生まれのジョージさん。地球温暖化や海洋汚染の影響で100年後には…

「美術作家のインタビューから見えてきたもの」

若手美術作家の紹介で続けてきたインタビューをいったん終了することにした。村上仁美さんに始まって1年近く、ふいに途切れる兆しが見えてそれを受け入れることにした。文学研究者Aさんとの偶然の出会いからはじまって、ひたすら流れに身をまかせてきた。今…

インタビュー08:遊び心を大切に仕掛けで見る人との会話が生まれる作品を 日本画家・杉山佳さん

今回、古山結さんからのご紹介で登場していただくのは杉山佳さん。昨年12月上旬に東京藝大の院生による博士審査展が開かれていて、杉山さんの作品や論文発表もそこで見られたのだが、残念ながらタイミングがあわなかった。 その博士修了作品「der-rahmen Ⅷ …

インタビュー07:人との関係性で発見したものを 自分の言語で絵にしてずっと届けていけたら  日本画家・古山結さん

今回は板垣夏樹さんのご紹介で、東京藝術大学大学院の博士後期課程に在籍する日本画家の古山結さんを訪ねた。10月に原宿で開催された「青参道アートフェア」の一軒家のギャラリーを使ったグループ展にうかがったとき、彼女が「名刺です」と渡してくれたのは…

インタビュー06:日本画家・板垣夏樹さん  神聖な仮想動物が導く、ここではないどこか遠い世界

今回は磯﨑菜那さんの東京藝大の同級生で、昨年大学院を卒業して日本画家として活動している板垣夏樹さんのご自宅を訪ねた。3代つづく江戸っ子だが、親元を離れて自活している。8月にGINZA SIXのギャラリーでみた作品は、写実的に描かれたお犬様と装飾的な山…

<トークイベント開催> 「村上仁美を知る  Message from Abyss ――グァダニーノ版映画『サスペリア』を手掛かりに」

「生と死の婚姻の場としての女性像」をテーマにした制作で、彫刻及び陶芸の領域で高い評価を得ている若手美術家の村上仁美さん。彼女の世界観を、グァダニーノ監督によるリメイク版の映画『サスペリア』と照らしあわせて読みとくトークイベントを開催いたし…

インタビュー05:日本画家・磯﨑菜那さん 生きものを愛する画家が描く、見る人を幸せにさせる絵の世界

絵本作家・画家の高橋祐次さんからのご紹介で、今回は磯﨑菜那さんがご家族と暮らす自宅を訪ねた。玄関入ってすぐの壁に飾られていたのは、植物の手入れをするお母さんが描かれた縦長の絵。階段をあがっていく途中には、今は亡きペットの額入り写真が大小い…

インタビュー04:絵本作家・画家・イラストレーター 高橋祐次さん 普通にみえて普通じゃない 見る人の想像をかきたてる世界を描きたい

今回は画家・倉田明佳さんのご紹介で、この夏予定されている個展やグループ展に向けて、作品づくりにいそしむ高橋祐次さんのご自宅を訪ねた。室内は若い男性の一人暮らしらしく雑然とした雰囲気だが、作業されている部屋に入って思わず「わぁ」と声が弾んだ…

インタビュー03:画家・倉田明佳さん デザイン科出身の画家が伝えたいのは、いろいろな心を抱える人間の昇華された美しい姿

東京藝大の取手キャンパスの正門をくぐり緑豊かな敷地内を歩いて10分ほど、美術学部の専門教育棟が見えてくる。平日は校舎前までバスが通っているが、土日は藝大前のルートに変わるのだ。日本画家・佐久間友香さんのご紹介で、今春から大学の助手を務めてい…

研究会の予告です

今後、作家の方をお招きして参加者とともにあるテーマについて語りあう会など開催していきたいと思っています。その際にはこちらで告知していきます。 (c)CBD Tarot de Marseille by Dr.YoavBenDov, http://www.cbdtarot.com

インタビュー02:日本画家・装丁画家・イラストレーター 佐久間友香さん 日本画とサブカルチャーを愛する新鋭の描く耽美な世界

現代美術家・陶芸家の村上仁美さんのご紹介で登場していただくのは、日本画家の佐久間友香さん。服部まゆみさんの「シメール」や長野まゆみさんの「その花の名を知らず」など小説の装画・扉絵も手がけ、海外の現代アートマガジンでも取りあげられる若手の新…

インタビュー01 現代美術家・陶芸家 村上仁美さん 彫刻×陶芸の技術を融合させて独自の女性像をつくる新鋭

2月中旬に渋谷・Bunkamuraギャラリーで開催されたグループ展「アリス幻想奇譚2019-アリスとファンタジーの普遍的概念」に村上仁美さんを訪ねた。ルイス・キャロルの世界的名作「不思議の国のアリス」の少女アリスを題材にしたアーティスト30人による作品展…

天才ついに来日!指揮者クルレンツィス&ムジカエテルナ 熱狂の公演に行く

“21世紀の奇跡”の初来日と喧伝される、ギリシャ人指揮者テオドール・クルレンツィスと彼が率いるムジカエテルナの公演に行ってきた。(2月10日 Bunkamuraオーチャードホール)東京3公演は早くに完売。関係者席開放にともなう追加販売を見逃し、当日券売り場…

1人7役の人形劇俳優たいらじょう×宮田大アンサンブル 音楽劇「サロメ」へ

人形劇俳優たいらじょうとチェリスト宮田大アンサンブルによる音楽劇「サロメ」を観劇してきた(1月20日 東京文化会館小ホール)。サロメというと、R.シュトラウスのオペラが有名なので妖艶な悪女の話というイメージだが、新約聖書の挿話を翻案したオスカ…

友人らが語るブレイク前夜の素顔 映画「バスキア、10代最後のとき」

27歳で薬物中毒の末、この世をさった現代アートの寵児ジャン=ミシェル・バスキア。彼がいかにして20世紀を代表するアーティストになったのか、若き日の素顔に迫ったドキュメンタリー映画「バスキア、10代最後のとき」(YEBISU GARDEN CINEMAで公開中)見て…

大惨事をどう表し、どう力になるか『カタストロフと美術のちから展』

『カタストロフと美術のちから展』(~2019年1月20日まで開催 六本木ヒルズ 森美術館)に行ってきた。大惨事(カタストロフ)をテーマに、戦争やテロや災害など問題が山積する国際社会において、よりよい社会にするための美術の役割を問う展覧会。オノ・ヨー…

連ドラ「いちばん大切なひと」幼なじみの2人はなぜ結婚しなかったのか

今から22年前、1997年にTBS系列で放送された連続ドラマ「いちばん大切なひと」のDVD(全11話)を見た。元SMAPの香取慎吾、観月ありさのW主演、ともに20歳の人気絶頂時で、幼なじみの恋愛ドラマを現実にも幼なじみ的なふたりが演じるということで話題をよんだ…

いま大注目のカウンターテナー 藤木大地リサイタルへ

今秋ワーナークラッシクスからメジャーデビューした、藤木大地さんのリサイタルへ行ってきた。(12月18日 紀尾井ホール)2016年に「題名のない音楽会」(テレビ朝日系列 毎週土曜午前10時~放送)で藤木さんが歌った「死んだ男の残したものは」を耳にして以…

文学研究者Aさんの告白(3)

耐えることを教えてくれるのが芸術 自分ケアの方法を見つける 夫の死から1年以上が経過し、生きのびるという行為にどうにかなれてきたといえ、やはり今も生きるだけで精一杯だ。日常の忙しさに流されそうなときには、村上さんの「温かい土」のことを考える…

文学研究者Aさんの告白(2)

運命的にであった美術作品にこころを救われて 現代美術家・陶芸家の村上仁美さんの作品を知ったのはTwitterがきっかけだった。Aさんは最近ようやく出向くことができた個展会場で「温かい土」という名の作品と出あう。女性をモチーフにしたものが多いなかで…

文学研究者Aさんの告白(1)

夫の死のショックをレーヴィの言葉で耐えた日々 30代半ばの文学研究者のAさんは、1年前に夫を突然死で亡くした。20代で結婚して以来、子どもはいなかったが仕事に理解のある夫とは助けあって仲良く暮らしていただけに、前ぶれもなくおそった悲劇ははかりし…

はじめに

(c)CBD Tarot de Marseille by Dr.YoavBenDov, http://www.cbdtarot.com わりと長いあいだ、テレビ局でライターをしていた。今でも忘れられない人がいる。ある番組についていたときにいっしょだったADのKくんだ。でしゃばらずしっかり業務を遂行する乙女…

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